【問題行動や反応を解決する ~無意識プログラムを意識化する】
普段私たちは、ほとんどのことを無意識で行っています。
そんなことはないと思われる方もおられるかもしれません。
ひとつの例として、私たちが生きていく上で最も大切な生命活動である呼吸を見てみましょう。
呼吸は、無意識と意識の両方のレベルにまたがる生命活動ですが、そのほとんどは無意識レベルで行われています。
熟睡している時でも、他の事に熱中している時でも、無意識がしっかりと呼吸を管理し、途切れることなく活動を維持してくれています。
呼吸は一例ですが、その他にも私たちが行っている様々な行動が、無意識レベルで行われています。
このような無意識のプログラムが数多く存在するのは、私たちがしっかりと生命を維持していく、ということ以外にもうひとつの大きな理由があります。
それは、無意識領域に対して、さほど容量の大きくない、顕在意識で処理できる情報量を有効活用するために、何度か繰り返したことや、たった一度だけでも強烈な印象をいだいた出来事に対しては、顕在意識での情報処理を通過せずに、反応や行動が出来るように、無意識でのプログラム化が行われるのです。
ですから多くの場合に無意識プログラムが働くことは、私たちにとって大きな恩恵を与えてくれます。
しかしその反面、無意識のプログラムが作動した結果としての反応や行動には、選択肢がありません。
そこに私たちの意思や判断が入り込む余地もなく、ほぼ自動的に同じ結果が繰り返されるのです。
それらが役に立つ形で機能している場合はいいでしょうが、自分が望んでいないような結果を引き起こす場合、反対にその人の可能性や自由を奪ってしまいます。
そのような時、無意識的プログラムを変更するために有効なのが、無意識プログラムを顕在意識化することです。
普段、無意識下で自動的に作動するプログラムを、顕在意識の領域に引き上げてみる、ということです。
しかし、無意識プログラムを意識化することには、時には危険が伴います。
「歩く」ということを例に、考えてみましょう。
「歩く」という行動を、普段わたしたちは無意識で行っています。
無意識で行っている「歩く」ということを、意識化してしまうと、「まずは、右足を前に。そして、手は?どちらの手が前だっただろう?」なんて、悪い冗談のような事が起こってしまうかもしれません。
もちろん歩くと言うような、生命活動で大きな意味を持つ活動には、簡単にはそのようなことは起こりませんが、無意識で行っていることを意識化してしまうと、このような事態を引き起こす可能性があるのです。
では、「無意識を意識化すること」は、よくないことかと言うと、必ずしもそうとは言えず、注意深く行う必要があるということです。
明らかに自分の役に立っていないようなケースでは、「無意識を意識化する」ことには、大きな意義があると言えるでしょう。
まず「無意識を意識化する」ということは、「何が起きているのかを客観的に知る」、ということです。
何が起きているのかを知ることが出来れば、そこにはいくつかの対処法を施す余地が生まれます。
そのとき、ようやく人は選択肢をもつことができます。
まったく選択肢がない状態に比べれば、その状態は、ほんの少し自由であるといえるでしょう。
しかし無意識のプログラムはとても強力なので、意識化するだけですべてが解決されるわけではありませんし、何が起きているかを知ることが出来たとしても、それに対して何の対策も打てない場合も時にはあるかもしれません。
それでもあえて、解決への第一歩として、無意識を意識化することには、大きな意義があると感じています。
無意識を意識化するために有効な方法は、自分を客観視するということです。
そしてその状態で五感レベルで起きている反応や行動を、冷静に分析することです。
そうすることで、無意識プログラムがどのようなプロセスで成り立っているかを、理解することができるようになります。
そのためにぜひ試してみてほしいのは、「センタリング」です。
センタリングとは、意識をおへその下あたりにある、自分の中心に持って来て、ただその部分を感じることです。
そうすると簡単に自分を客観視できるようになり、思考や感情に左右されずに、五感レベルで何が起きているかに気付くことができるようになります。
無意識のプログラムによるある反応や行動を変えたいと思われたら、センタリングしながらその時に5感で起きていることをただひたすら感じてみてください。
そうすることで、無意識プログラムの意識化が起こり、解決のための答えが浮かんでくる可能性があります。
「センタリング」は、マインド・ボディセラピーコースでもお伝えしている素晴らしいスキルですので、ぜひ一度お試しくださいね。
0コメント