【人生がよい方向に向かうための秘訣 ~変えれないものを受け入れる】
プロテスタント神学者であるラインホルト・ニーバーの『平静の祈り』と言われるものがあります。
「神よ、変えられないものを受け入れる平静を、変えるべきものを変える勇気を、そして、それらを見分ける英知を与えたまえ」
この祈りには、人生を豊かにする大いなる秘訣が隠されているように思います。
それは、「変えられないものを受け入れる平静を」 というくだりにあるように思います。
わたしが普段のセラピーでも感じることなのですが、如何に多くの人たちが変えられないものに対して、いろいろと思い煩う事が多いか、ということです。
「主人さえ変わってくれれば、わたしは幸せになれるのに。」
「あの上司さえいなくなれば、もっと楽しく仕事ができるのに。」
これらの願いは、他人が主導権を持っています。
基本的に他人を変えることはできません。
ですから、これは変えられないことに対する思い煩いといえるでしょう。
また、
「あの失敗さえしなければ、もっと幸せになれただろうに。」
「あの家にさえ生まれなければ、もっと自由な人生を過ごせたのに。」
これは、過去の出来事に対する思い煩いです。
いくら悔やんでも、やはり過去の出来事も変えることはできません。
過去だけでなく、
「もし、リストラされたらどうしよう」
「病気になって、寝たきりになってしまったらどうしよう」
未来に関しては、より希望に満ちた未来に変えていくことは可能です。
そのためには、この瞬間の想いと行動がカギとなるのですが、起きるかどうかもわからないネガティブな出来事に対する、不安や恐怖に囚われるのは、反対に予期不安として、そのようなネガティブな状況を実際に引き起こす方向に働いてしまいます。
このようなパターンも、変えられないものを変えようとしているのと同じで、私たちの大切な生きるエネルギーを奪ってしまいます。
予言者でもないかぎり、未来は不確定なものです。
不確定なものに対して、あーだこーだ考えても、ほとんどは現実には起こりません。
このように見ていくと、生きるための大切なエネルギーが、いかに多く、変えられないものを変えようとするために、無駄に浪費されているかに気付けるかもしれません。
このような状態では、やはり明るい希望に満ちた未来を切り開いていくのは、難しくなるように思います。
ここでもう一度、冒頭でご紹介した「平静の祈り」の言葉をしっかりと吟味してみればよいかもしれません。
同じエネルギーを、変えるべきものを変える勇気のために使うことが出来れば、そしてそれらを見分ける英知のために使うことが出来れば、確実に人生はよい方向に向き始めることだと思います。
本当に意識を向ける価値のあるものだけに、私たちの大切な生きるためのエネルギーを注いでいきたいものです。
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